猫のアルバム:3

猫は古くから愛されてきた

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歌川国芳の『猫飼好五十三疋』に描かれた猫。

日本において飼い猫としての猫が初めて文献に現れたのは
宇多天皇の日記の中の889年2月6日のくだりだという。
宇多天皇は先帝である光孝天皇より唐渡来の黒猫を賜り、5年にわたって大切に育てた。
この日記にはその経緯と猫の観察が記されている。
一条天皇も猫を愛し、宮中で子猫が生まれた時には人と同じような儀式をおこなって、
子猫に五位の位を与えて「命婦のおもと」という名前まで付けたということが
『枕草子』『小右記』に記されている。
以降、猫は『源氏物語』『更級日記』等に相次いで登場している。
そもそも在来の日本猫よりも珍しい唐猫が貴族階級では珍重されていたようだ。
このような愛猫家の記録の陰には猫嫌いの記録もある。
藤原清廉は大の猫嫌い。この人、金を持っていながらちっとも年貢を納めなかった。
そこで国司の藤原輔公は猫を使って清廉に迫り、年貢を納めるという証文を取り付けた。
「猫恐の大夫」と題されたこの話は『今昔物語』に載っている。

このように平安時代には珍重されていた猫クン達だが、
鎌倉時代に入るとさっそく怪猫の話が出てくる。
『明月記』には一夜にして7〜8人を襲ったという大きな猫(野猫)の記述があり、
『古今著聞集』には飼い猫の唐猫が実は魔物で、
秘蔵の守り刀を持って逃げたという話がある。
『徒然草』には野猫も飼い猫も歳をとると化けて猫股となって人を喰うようになるとされ。
以降、猫股の正体について論議されたようだが、
◎年老いた◎黄色か黒色の◎雄猫で◎体が大きく◎尾の先が2股に割れているものと
結論されたようだ。体の大きさも時代と共にどんどん大きくなって
『明月記』では犬くらいだったものが『新著聞集』では猪くらいとなり、
『寓意草』では9尺5寸(約3m)にまでエスカレートしている。

猫股の所業は◎人語を話す◎人に悪夢を見させる◎後ろ足で立って踊る
◎火の玉をころがす◎死人を踊らせる◎死人を奪う◎人を食う◎人に化ける
◎人を猫に変えるなど、バラエティに富んでいる。
猫股伝説の直接的な成因は中国の金花猫や猫鬼の伝承の移入であろうが、
猫の持つ特性そのものがその伝承を裏付けていると考えられ、更に発展させたようだ。
◎瞳の形が刻々と変わる◎逆撫ですると毛が青光りする◎尾が薄気味悪くうねる
◎後足だけで立ち、前足で戯れる◎腐臭に誘われて死人の傍に寄る
◎待ち伏せという陰湿な方法で獲物を捕る
これらは神聖視される要因であると同時に、魔性と忌み嫌われる要素でもあり、
それが神話と同時に怪奇伝を生むことは洋の東西を問わず、
日本もまた、その例外ではないのである。

この猫股伝承は日本の猫の形態にも影響を与えている。
文献や絵画を見ると江戸時代中期までは長尾の猫が多く登場し、好まれていたことが判る。
ところが江戸時代後期に入ると「猫のシッポも長いは流行らず」となる。
当時の浮世絵を見ると、喜多川歌麿の頃からガゼン短尾の猫が多くなるみたい。
猫好きの歌川国芳の『猫飼好五十三疋』や安藤広重の『百猫画譜』に描かれた
猫のなんと7割以上が短尾の猫である。
長尾を愛でる風潮から一変して庶民の間では短尾の猫が好まれた現れだと判る。
この大転換の一要因として、長尾の猫は猫股になると恐れられたことがあげられる。
猫股になるのを未然に防ごうと、長尾は切り取ってしまうという風習さえ起こった。
この風習は昭和初期まで残っていたらしい。
ちなみに、遺伝学的には短尾は尾の突然変異で優勢遺伝するという。

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猫のアルバム1:人馴れした猫とお見受けした。
と言っても、絶対侵入阻止ラインはちゃんと持っていた。
(瑞穂区・眞好天神社界隈)
可愛さ度:★★★★★
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猫のアルバム2:どこともなくフラリと私の前に現れて、
「ポーズをとってやるから写真撮れよ」と言っているかのような猫がいた。
(東区・泉2丁目界隈)
可愛さ度:★★★★★
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猫のアルバム3:こういう姿勢でジッとこちらを伺う猫が多い。
猫にとっては侵入者である私がいなくなるまでこの姿勢は変わらない。
(昭和区・塩付通神明社)
可愛さ度:★★★★★
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猫のアルバム4:貞祖院の境内を散策していたら置き物猫に出合った。
なに、判らない? 丸い木と真直ぐの木との間、こちらを伺う目が2つ。
(東区・貞祖院)
可愛さ度:★★★★★
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猫のアルバム5:下町の空地に親子の猫がいた。親の耳で緊張しているのが判る。
私が通り過ぎるまでジッと草むらに隠れていた。
(西区・那古野界隈)
可愛さ度:★★★★★
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猫のアルバム6:大永寺の境内で白い猫を見かけた。
この猫、写真を撮ろうとするとス〜ウと何処かに行っちゃう不心得者だった。
(守山区・大永寺)
可愛さ度:★★★★
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猫のアルバム7:喫茶店の客のお下がりを狙う猫は人見知りしない。
今日もいつものトコロで待ってて、愛嬌を振りまけよ。
(熱田区・熱田神宮界隈)
可愛さ度:★★★★★

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オマケの猫:アルバム7の猫はこんな顔している。
でも、ちょっと太り過ぎじゃないのか。
(熱田区・熱田神宮界隈)
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by tomhana0904 | 2006-12-26 06:51


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